映画「SING」をゆるゆる分解
どーも、こんにちわ!エスプリで動画編集を担当しているVANVANです。 今日は映像の勉強をする上で欠かせないハリウッド式の脚本メソッドである、三幕構成をみていこうと思います。 (三幕構成について詳しく知りたい方は調べてみてください!) 今回、取り上げる映画は「SING」 皆さんご存知でしょうか? 海外のアーティスト曲をふんだんに使用したことで話題となりました。 アニメーションなのでわかりやすくていいかなと思い選んでみました。
三幕構成の基本の流れは以下(シド・フィールドを参考にしています)
- 【第一幕】物語の状況設定、目標、きっかけ、決断
- 【第二幕】葛藤、挫折
- 【第三幕】解決
では早速、イラストを使用してゆるくみていきましょ〜
映画「SING」の三幕構成
第一幕
主人公の紹介 | バスター・ムーン(コアラ) 子どもの頃にショーを観て感動し、宇宙飛行士の夢をやめて劇場主に。 わりと楽観的で、なんとかなるさで乗り切ろうとする。 | |
今、劇場って どんな状況? | ヒット作なく、経営難で役者への賃金未払いなどが発生している。 銀行からも電話が… | |
タイトル「SING」 | ||
主要キャスト 登場 | バスターが自転車で外出し*、街を滑走しているシーンで主要キャストが入ってくる。それぞれの日常生活シーンを順番に見せる。 ※バスターは画面向かって右へ行くシーンが描かれている ジョニー(ゴリラ) 窃盗団のボス ビッグ・ダディの息子 ↓ ロジータ(ブタ) 25人のこどもを世話する主婦 ↓ アッシュ(ヤマアラシ) 彼氏(ランス)とパンクロックバンドを組んでいる ↓ ミーナ(ゾウ) 極度の恥ずかしがり屋 ↓ マイク(ネズミ) ストリートミュージシャン | |
★ひらめき① | バスターは友人のエディ(ヒツジ)をレストランに呼び、 「歌のコンテスト」を開催することを伝える。 エディの父からの伝言で「2度とお金は貸さない」というセリフが出てくることから、エディは金持ちの息子とわかる。 ★貧乏アピールポイント 自転車が壊れる | |
★行動と決断 | バスターは事務所に戻り、劇場事務員のミス・クローリーに「歌のコンテスト」チラシを作成依頼する。 賞金額は1,000ドルの予定が、 ミス・クローリーの義眼が落ちてキーボードに0が2度打ち込まれる。 それに気づかず印刷し、出来上がったチラシは風に飛ばされ街にばら撒かれる。 |
ここで第一幕は終了。賞金額の入力ミスきっかけで第二幕へと繋がっていく...
第二幕
★喜び | 100,000ドルの賞金を目指して、オーディションを受けに長蛇の列ができる。 チラシの金額を見ていないバスターは純粋に喜ぶ。 審査後、オーディションに受かったメンバーを劇場に残して今後のこと語る。 10万ドルと記載していることに気づくバスター。 メンバーを置いて、一旦事務所へ。 | |
★焦り | 友人エディに10万ドル貸してと頼むも断られる。 洗車屋として働き、劇場を維持していた父の形見=バケツを見せる。 ★老朽化アピールポイント 天井から滴り落ちてくる水をバケツでうける。 10万ドルが誤りであることは伏せて、リハは明日からスタートすることで一旦解散。 ひつじの心配をよそに、どうにかなるさで先へ進むバスター。 バスターのキーポイントセリフ 「どん底まで落ちたらどうなる?1つしかない。上昇するだけ!」 | |
キャストたちにフィーチャー ★苦悩・葛藤・障害 | オーディション合格者の練習がスタート [オーディション後のキャストたち心境] オーディションに落ちて落ち込む、合格したけどまわりに受かったことが言えない、など [練習中のキャストたちの心境] 苦手、やりたくないものをさせられる苦しみ [キャストたちのそれぞれの私生活] 彼氏に浮気される、カジノでイカサマがバレる、家業の手伝いさせられる、など ★貧乏アピールポイント 劇場が停電する(電気代支払っていなくて) | |
★焦り②、トラブル発生 | 銀行から返済しないと劇場差し押さえすると言われる。 リハ中に、キャストが解散&病院送りに。 | |
★ひらめき②&行動 | 友人エディの祖母が、劇場主になるきっかけとなった 大物舞台女優ナナ・ヌードルマンだと知り会いにいく →劇場にリハを観に来てもらうように交渉 | |
★トラブル発生 | クマがマイクを追って劇場に乱入 バスターの10万ドルが入っていると思われているBOXを破壊 ↓ BOXの中身にドル札がないことがバレる ↓ クマがBOX破壊した振動で舞台の水槽がひび割れ洪水 ↓ 劇場が洪水で崩れ、全て潰れる ↓ みんな散らばる | |
★どん底 | バスターは友人エディの家に転がり込む。 みんなが、バスターを訪ねにくる。場所を探そうと奮起するも、 終わったと諦める。 |
劇場が崩壊し、再起不能になるところで第二幕終了。
第三幕
★再出発① | 落ち込んでいたバスター。父親と同じく、洗車の仕事からスタート。 友人エディに作業用にパンツを持ってきてもらう。 仕事をする姿を見て若干呆れ気味で一旦帰ろうとするも、 戻ってきてバスターの仕事を手伝う。 ここで、第二幕あたまにでてきたバスターのセリフを使うエディ 「どん底まで落ちたらどうなる?1つしかない。上昇するだけ!」 どこからか聞こえてくる歌声にひかれて行くと、そこには一人で歌っているミーナ(ゾウ)の姿に感動し、再奮起。 | |
★大盛況&成功 | 崩壊した劇場跡地で野外ショー開催。 最初、観客少なかったがのちに観客が大勢集まり 最後にはスタンディングオベーション。 | |
★再出発② | 大物舞台女優ナナ・ヌードルマンが跡地を買収し、再度劇場再建。 グランドオープンして終わりを迎える。 |
考察&感想
ハリウッドの三幕構成は、だいたい1:2:1の配分で作られていて、時間にすると20分:40分:20分になります。
「SING」では以下の時間配分(配給ロゴOP、ENDクレジットはいれていません)
第一幕 ━━ 約10分
第二幕 ━━ 約60分
第三幕 ━━ 約30分
「SING」という表題でもあるので、歌を歌うシーンがたくさん出てきます。
キャストも多いため、それぞれのストーリーと音楽を流すシーンを考えると第二幕と第三幕に時間をたっぷり使う理由がわかります。
個人的にキャラ配置でいいなと思ったのは、ブタのグンター。あんなにキラキラ衣装着ててキレのいいダンス踊っていて目立つのに唯一キャラクターのストーリー背景がない…。見終わったあとには、「そういやキレ良くダンスしているブタがいたなー」くらいの印象しかなくなっている。キャラクターのストーリーがあるかないかでこんなにも印象が違うのかと思いました。
[個人的に好きな演出]
・バスターとエディが電話で会話するシーン
二人が遠くで会話をしているかのように画面を分割にして話しているのですが、バスターが近くでエディを見ている匂わせをしてから登場します。突如、違う場所から瞬間移動したかのように出てくる演出なので気に入っています(よくある作りですが)
・チラシの賞金額記載ミスに気づいたときのバスター
一番ツボったのは、バスターがエディから受け取ったチラシを丸めて捨てるところまでをエディが見てるシーン
今回は三幕構成に絞りましたが、絵作り視点で見るとまた違う見方が出てくるのではないかと思います。
1時間以上ある映像をチェックするのは大変ですが、物語の構成がとてもわかるので好きな映画で分析してみてください〜!